個人融資掲示板でもamazonギフト券が詐取される事件

世の中には「今すぐにお金が必要」というニーズは非常に多くありますが、そのすべてに応えることができるものは存在しません。

そのためたとえブラックリストであっても高金利で融資をするヤミ金融は存在し続け、融資を餌に詐欺をするものもなくなることはありません。

しかしながらお金がない方から詐欺によってお金を騙し取ることは決して簡単なこととはいえないでしょう。

そんな貧困層向けのインターネットサービスとして「個人間融資掲示板」といったものがあることはご存知でしょうか？

文字通り個人間での融資をお金を借りたい人と貸したい人がやりとりする掲示板です。

なぜこのような個人間融資掲示板が登場するようになったのかといいますと、一般企業が経営する消費者金融では総量規制や過払い金請求などの影響によってこれまでのような貸付が困難になりました。

当然ながら消費者金融だけに影響を及ぼすものではなく、消費者金融を利用していた債務者には死活問題ともいえる状況だといえるでしょう。

貸金業の許可なく不特定多数の人間に融資を行えば無許可で貸金業を営んだとして貸金業違反となりますが、友人や知人にお金を貸すような個人での貸付は貸金業の許可がなくても罰せられることはありません。

この個人間での金銭の貸付をするための場となるのが個人間融資掲示板なのです。

ではこのインターネット上にある個人間融資掲示板は安全に融資を受けることが本当にできるのでしょうか？

インターネット上にある個人間融資掲示板の内容

お金に対する価値観というのはひとそれぞれ異なるものですが、多くの方は「お金が欲しい」と思っているのではないでしょうか？

特に収入の低い貧困層はお金を借りたいのに借りることができないという方は少なくありません。

そういった方はヤミ金融ぐらいしかお金を借りることはできませんが、ヤミ金融はどこでお金を借りることができるのかを知っている方などほとんどいないでしょう。

では個人間融資掲示板に書かれている内容はどのようなものかといいますと、

といったもので日本全国の多重債務者がお金を貸してくれる相手を募っているのです。

そういった方がお金を貸してくれる相手を探すことができるのが個人間融資掲示板なのですが、実はこの掲示板は犯罪の温床となりつつあるのです。

そもそも「お金」という存在は多くの犯罪に関わっていることはご存知かと思います。

• 窃盗
• 恐喝
• 詐欺
• 横領
• 強盗

といったように犯罪の多くはお金を奪うものであり、お金はターゲットとなっているのです。

ではこの個人間融資掲示板ではどのような犯罪が起きているのかといいますと、違法な融資だけではなく融資を装った詐欺被害が相次いでいます。

融資と称しながら電子マネーが詐取される手口とは？

お金がない人からお金を騙し取ることは普通に考えれば「無理」といえるでしょう。

なぜなら目的となるお金を持っていない方を相手にするからです。

ただお金がない貧困層というのは詐欺などの被害には遭うことがないと思われていることが少なくありませんが、実は必ずしもそうではありません。

では多重債務者が借り入れ先を探すための個人間融資掲示板で起きている詐欺被害とは一体どのような手口なのでしょうか？

まずこういった個人間融資掲示板に書き込みをする利用者というのは一般的な消費者金融からの借り入れができない多重債務者というだけではなく、それ以外にも支払いなどに追われている心理的にも追い込まれている方がほとんどといえるでしょう。

そのため藁にもすがる思いで掲示板で借り入れ先の相手を探しているのです。

そんな矢先に「融資しましょう」という回答があれば、すぐにお願いすることは間違いありません。

そんな精神的にも詰まった相手を騙す詐欺の手口はといいますと、このような個人間融資掲示板での貸付の方法として身分証明書による本人確認の手続きが行われます。

これは通常の貸金業者でも行われるものですが、ただそれだけでお金が借りられるわけではありません。

実は本人確認と共に携帯電話のキャリア決済の利用に必要となる

• ログインID
• パスワード
• ネットワーク暗証番号

といった情報も要求されるのです。

当然ながら「お金が借りることができるのであれば」という思いからその情報を提示してしまうのはいうまでもありません。

ところが一向に融資される気配はなくお金を借りることはできませんでした。

それだけで済めばよかったのですが、後日携帯電話料金の請求が届いた時に驚愕の事実を突きつけられたのです。

なぜなら毎月の携帯電話料金よりも5万円近く高い料金が請求されました。

この料金の詳細はといいますと、どうやら携帯電話のキャリア決済でamazonギフト券が不正に購入されておりその分も請求されています。

すぐに携帯電話会社に問い合わせたところ、

「お客様ご自身が購入されたものではないでしょうか？」

という回答でしたが、もちろんamazonギフト券を購入した覚えなどありません。

「お客様のアカウントのIDやパスワードなどをどこかで記載したことはありませんか？」

と言われようやく気付きました。

個人間融資掲示板の相手に携帯電話の情報を要求されたことを・・・。

「個人間融資掲示板」を悪用した詐欺の容疑者逮捕

「火のないところに煙は立たない」という言葉がありますが、お金がないところから詐欺ををする事件がありその被害総額は1,000万円にもなります。

携帯電話会社のインターネット決済サービスに不正に接続し、電子マネーをだまし取ったとして、道警に逮捕された水戸市の男が、ネット上の「個人間融資掲示板」を悪用して「１千万円ほど稼いだ」と供述していることが捜査関係者への取材で分かった。掲示板は多重債務者らが借入先を探す手段になっているが、現金や個人情報をだまし取られる被害が相次ぐ。掲示板に対する法的規制はなく、専門家は「犯罪の温床になっている」と指摘する。

　「家族にも相談できず、追い詰められ掲示板にすがったが間違いだった」。男に個人情報を悪用された函館市の４０代の男性はそう悔やんだ。男性は取引先の倒産で２００万円が回収不能になり、ネットで現金の貸し借り相手を探す個人間融資掲示板に頼ったという。

　道警によると、不正アクセス禁止法違反容疑などで３日に逮捕された薗田徹（３８）、吉井学（３９）両容疑者＝いずれも水戸市＝は１月、男性の携帯電話のＩＤとパスワードを使い、ネット決済サービスに接続。電子マネー４万８千円分を購入し、だまし取ったとされる。薗田容疑者は容疑を認め、吉井容疑者は「薗田容疑者の指示で金を引き出しただけ」と否認している。

　２人は男性の依頼に応じるよう装い、実際には融資せずに「本人確認」の名目でＩＤとパスワードを聞き出した。不正購入した電子マネーは転売して現金化。口座には約３００回の入金記録があり、捜査関係者は「金策に苦しむ心理に付け込み、同様の手口を繰り返していた」とみる。

最近では有料動画サイトの架空請求による特殊詐欺ではコンビニで購入できるamazonギフト券などが悪用されるようになり現金振込に代わる詐欺の手口として話題となっています。

しかしそれだけではなくamazonギフト券などの電子マネーはインターネット上にある掲示板でも不正に購入され現金化されていたのです。

今回の詐欺事件の特徴はこれまでの特殊詐欺の特徴ともいえる電子マネーを詐取していたという点に加え、キャリア決済をするための情報を聞き出し不正に電子マネーを購入していた点といえるでしょう。

確かに多重債務者のなかには携帯決済の存在する知らない方も少なくはなく、キャリアのアカウントを伝えるだけで電子マネーが購入可能なのです。

それを心理的にも弱い立場となる債務者をターゲットに詐欺を行っていた点、誰もが思いつかない新たな手口といえるでしょう。

今回の個人間融資掲示板だけに限らず、今後はこういった携帯キャリア決済を悪用する詐欺事件というのはさらに広がっていくのではないでしょうか？